• --.--.--
  • スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

  • 2000.01.07
  • 式神~第一章~③

     夏の暑さは日増しに強くなっていく。
     七月という月は上り詰める月なのだ。
     それは人々の感情にも現れる。
     学生はもう目の前に夏休みを控え、社会人もお盆という連休をもらうチャンスがある。多くの人々は夏のバカンスに心躍らせ、気温と一緒に自分の気持ちも高揚させていく。
     しかし凛の内面はそうはいかなかった。
     表向きの顔はいつもと変わらず、才色兼備な優等生を演じながら、心の中では昨日の失態を悔やんでいた。
     今朝、姫と秀人に人形との遭遇を話したが二人とも特に感想はなかったようだ。
     秀人にいたっては凛に怪我がなかったことを喜ぶ始末だ。
     心配されるなど、凛にとっては心外でしかない。それならば姫のような無関心のほうがまだいくらかマシに感じられた。
    「ふぅ……」
     人の目があるところでは一生懸命笑顔を作ってはいるが、一人になるとついついため息をついてしまった。
    「夏にそんなため息は似合わないぜ、お嬢さん」
     気がついたら文香がそんなキザな台詞とともに紙パックのいちごオーレを差し出して目の前にいた。
    「じゃあ、私のために気晴らしになるようなお話を聞かせていただけるかしら? 紳士」
    「いいとも、いいとも。というわけで、夏休みに入ったらすぐ、その日に海に行かないかね?」
     文香とは中学からの付き合いになる。お互い違う小学校から上がってきたので中学校で初めて顔を合わせた。
     初対面の印象は気に食わない。
     文香のほうは単純にお嬢様だなあ、ぐらいのものだったらしい。
     最初こそ毛嫌いしていたが、文香の男勝りな性格に凛は少しずつ好感をもつようになり、卒業のころには凛にとって唯一親友と呼べる関係になっていた。
    「嫌よ。肌を焼きたくないの」
     文香から受け取ったいちごオーレにストローを刺しながら夏休みのお誘いを一言で一刀両断。
    「そういうなよ~。白い砂浜、青い海、真っ赤な太陽、ひと夏の恋。これ全部がわずか一時間電車に揺られるだけ手に入るんだぞ?」
     文香は文香で凛がそういうことは最初からわかっていたのだろう。わざわざ近場の海水浴場のパンフレットを持ち出して擦り寄ってくる。
    「砂浜はごみだらけ、海はどんな有害物質が溶けてるかわからない、太陽にいたってはさっき言ったとおり肌を焼きたくないから見たくもない、ひと夏の恋って……あんた、本気でそんなもの求めてるの?」
    「うんにゃ、ただ単にナンパされにいくだけ。しかもそれをこっぴどく振るのがオレの好みだな。にしても、相変わらず鞍馬凛お嬢様は夢もへったくれもないね~」
     凛の前の席に腰掛けると頬杖をついて右手を差し出してきた。
    「私にかけてるのが夢とか希望とかいう類のものなら、あなたに欠けてるものは女らしさという先人の教えね。……って、何よ、その手は」
     いちごオーレを最後の音を立てながら飲み干しながら文香の差し出してきた手を凛は鬱陶しそうに見つめる。
    「いわれなくてもオレに乙女な成分が足りてないことぐらいは理解してるよ。いちごオーレのお金。まだもらってないだろ?」
    「はあ? おごりじゃないの?」
    「オレは一言もおごりだなんていってないもんね~」
    「あきれた……本当に友達甲斐のないやつ……」
     観念した凛は鞄から財布を取り出すと百円硬貨を文香に手渡した。
    「友達だからため息ついてる凛を心配していちごオーレを譲ったんじゃないか。おかげでオレはまた買いに一階まで降りなきゃいけなくなった」
    「はいはい、それはどうも。ありがたくって涙がでそうよ。そして今、ため息つくぐらい機嫌が悪いんだからさっさとどっかいってよ」
    「あらら……こりゃ本格的に機嫌が悪いな……珍しいね、凛が人前でツンケンするなんて」
     凛と文香がはたから見れば喧嘩にみえるようなやり取りをしていると凛の机のそばにもう一人女の子が近づいてきた。
    「あ、あの……」
     凛はその少女、少女という表現が非常によく似合う女性に目を向けた。
     日下部レナ。
     文香とは対照的に女の子らしく少々気の弱い同級生だった。彼女とは高校のこのクラスで初めて知り合った。
    「え、えと……喧嘩はよくないよ……?」
     レナは一生懸命だがまるでいたずらがばれた子犬のように震えながらか細くそうつぶやいた。
     その瞬間、
    「あははははははははははははははははははははははは」
     文香の無神経な笑い声が教室中に広がった。
     凛は本当に文香にもレナのような恥じらいというものを学んでほしくて仕方がなかった。レナはびっくりしたり、突然笑われてどうすればいいのかわからなくなりおろおろするばかりだ。
    「日下部さん、気にしなくていいのよ。喧嘩してたわけじゃないわ」
     おびえるばかりのレナをなだめるようにできうる限り優しい声色で凛はレナにささやいた。
    「そうだとも、レナ。オレと凛は喧嘩なんかしてないよ。ただ夏休みの計画について話し合ってただけだよ」
    「そ、そうなの……? でも私には凛ちゃんと文香ちゃんが喧嘩してるようにしか…… で、でも夏休みの計画っていいね……」
    「何いってるんだ、レナも一緒に行くんだよ。レナは相変わらず二十四時間かわいいな…… お姉さんがぐりぐりしてやろう」
     文香はレナを自分のほうに引きずり倒すとその頭を胸に抱えてぐりぐりと撫で回している。
    「文香いい加減にしなさいよ、日下部さんが迷惑がってるじゃない」
    「め、迷惑じゃ……ないけど……くすぐったいです……」
     はたで見ている凛からすれば猛獣がレナを食べようとしているようにしか見えない。
     文香は一通りレナをいじり倒すとやっとその身を開放した。
     この暑い中、冷房もなくくっつきあっていたので二人とも汗だくである。
     顔にういたびっしりと玉のような汗をふきながらレナはなんとか口を開いた。
    「夏休みの計画ってどこかにいくんですか……?」
    「ああ、そうだった。すっかり忘れてた。海に行こうと思ってるんだけどね、冷たい凛様は来てくれないって言うんだよ、ひどいだろ、レナ」
    「え……凛ちゃん来ないんですか……」
     文香のわざとらしい非難の目は無視してもさして問題ないのだが、レナのそれに関しては話が違ってくる。
     この娘は小動物を髣髴とさせる。凛も女の子である。小さなもの、かわいいものが嫌いなわけがない。
     そしてこの日下部レナという少女はその両方を兼ね備えていた。
     凛はどうもこの娘に下から寂しそうに見上げられると否定の言葉を口にするのをはばかられる。
    「そうね……行きたいのは行きたいんだけど……その日は予定が……ね?」
     口からでまかせの嘘である。
     純粋なレナはそうですかと納得はしたもののそれでも残念そうな顔を、文香は嘘をつくなという顔をしている。
    「ほうほうほう、予定ねー……二組の沢村と?」
    「はあ?」
    「え……?!」
     文香の声に驚きの声は二つあがる。
    「知ってるんだよ~、おじさんは。あんた沢村に告られたでしょ~?」
     文香がにまにまといやらしい笑みを満面に浮かべて凛に迫る。
    「な、なんであんたがそれを知って……」
     凛はそこまで言って「また」知られてしまったことに渋面を作って方を落とした。
     なぜ文香が知っているかなどということはもはや考えてもしかたないことだろう。この女はどこからともなくいつも凛にとって都合の悪い情報を仕入れてきてこうしてからかってくるのだ。
     おそらくコネのある運動部や一部の文科系の部活の知り合いから仕入れてきているのだろう。凛は文香のこういう人脈の形成という才能を疎ましく思うこともあるが大いに評価していた。
    「ほ、本当なんですか……? その、沢村君に……?」
     初めて聞いたニュースにレナは顔を真っ青にして驚いている。
     普段から恋愛関係の話には不慣れなレナにとってはずいぶんとショッキングなニュースだったようだ。
    「まあ……一応、ね……」
     文香にこの手の話をからかわれるのは慣れていたが、その場にレナがいるとなると妙な気恥ずかしさを感じる。
     加えて、このタイミングで再び姫の笑い声が頭に響いてきてしまった。
     ますます自分が何かとても恥ずかしいことをしているのでは、という思いが凛の頭をよぎった。
    「それで……どうなったんですか……? 凛ちゃんと沢村君……お、お、お付き合い……してるんですか……?」
     ショックが抜けきらない表情のままレナがこの話に食いついてきた。
    「おー? そうかそうか、レナも興味あるよな~。大好きな凛ちゃんが男に汚されたかもしれないんだからな」
    「ちょっと! 変な表現しないでよ! 付き合ってないわ。丁重にお断りしました!」
     凛は文香の表現に顔を赤くして半ば叫ぶように声を上げ立ち上がったときにいすを倒してしまった。
     椅子が倒れた時の大きな音にクラスの目線が凛の机の周りの三人に降り注ぐ。
     慌てて椅子を戻し、コホンと咳払いをする。
    「文香のせいでいらない恥をかいたじゃない……」
     凛は先ほどの叫びの反発のように声を潜めて往年の友人を非難するが、非難された側はそんな凛の声音にもどこ吹く風という顔で受け流している。
    「オレはオレの知ってる情報の確認をとっただけ。大きな声でばらすようなことはしてないぞ?」
    「日下部さんにばらしたじゃない」
    「おいおい、レナにまで秘密にするのか? ひどいやつだな~凛のほうがよっぽど友達甲斐がないじゃないか。なーレナ~?」
     文香は満面の笑みでレナに話を振っている。こうして凛をからかっているときの文香の笑顔はどこか姫のそれと似ていると最近凛は考えるようになっていた。どちらもまったく顔の形が違うのだが。
     話を振られたレナは、
    「………………」
     呆けたように俯いていた。
     まるで心ここにあらずといった風である。
    「? レナ?」
     レナの反応がないことに気づいた文香がレナ」の顔を覗き込んだ。
    「はぅ……あ……えと……なんですか……?」
    「レナには刺激が強かったか……ごめんよ~お姉さんが悪かったよ~」
     レナがやっとこちらの世界に意識を取り戻すと文香は再びその頭を抱えてぐりぐりを開始した。
    「ああぅ……文香ちゃん……暑いです~……」
    「汗を流せばダイエットになるだろう~女は痩せててもダイエットする生き物なのだよ~」
     そんな風に、いつものようにじゃれあっているとチャイムの音が響いた。あわせたように中年の数学教師が教室に入ってくる。
    「お、もう時間か。じゃあ凛、海のことちゃんと前向きに考えとけよ」
     文香はレナを開放すると自分の席へと去っていった。
    「はいはい、わかったわよ。日下部さん、大丈夫?」
     文香に適当に答えながらふらふらと足元がおぼつかないレナに気遣わしげに聞いてみた。
    「う、うん……大丈夫……大丈夫……」
     そういって日下部レナはふらふらと夢遊病のように自分の席へと戻っていった。
     それは今街を襲う通り魔事件とはかけ離れたごくごく普通の高校生のワンシーンだった。

     それからは特筆するようなことは何もなく学生の時間は終わり、自宅への帰路に凛はついた。
     放課後になると意識はすぐに通り魔事件に向いていた。
     今後の調査方法に関してあれこれ考えながら歩いているうちにあっという間に自宅の巨大な門の前まで来ていた。習慣というのは恐ろしいもので余計なことを考えていてもちゃんと無意識のうちに脚は凛を自宅まで運んでくれたらしい。
     通用門の脇にある郵便受けを覗くと大きな封筒が入っている。どこを見ても差出人の名前がないどころか、そもそも切手も消印もない。
     普通なら不審物ということで警察に届けられてもしかたないのだが凛にはこれに心当たりがあった。
     そう、ようやっと「機関」から分析結果が届いたのだ。
     急いで自分の部屋で着替えを終えると裏の庵にいく道すがら封筒を開けて中身を確認する。
     流し読みする限り、犯人は人形を傀儡していることなどが書かれている。
     せめてこの報告書がもう一日早く来ていれば対策を立てて昨日の段階で犯人を捕まえることができたかもしれない。
     こういうところでも今の自分はうまくいっていないのだと自覚する。
     凛は思わず舌打ちやため息をつきそうになるがぐっと飲み込んだ。
     うまくはいってないが前進はしている。
     ならば過去の噛み合わせの不具合を嘆く前にするべきことがある。
    「姫、話があるんだけ……ど……」
    「こんにちは、凛。今日はずいぶん早かったね」
     まただ。
     秀人はそれが当然というような顔でこの部屋にいる。
     そんなに姫に会いたいのだろうか?
    「こんにちは。悪いけど、出て行ってくれる? 姫に大事な話があるの」
     少々きつい物言いになってしまっただろうか?とも思ったがこれ以上秀人がここにいるのはよくない。
     そう、いるべきではないのだ。
    「よい。秀人には茶を入れてもらわねばならぬでな」
     ここで姫が口を挟んだ。
     彼女は秀人がここにいる意味を理解しているのだろうか?
    「姫! いい加減にして! 」
    「秀人がここにいて何か不都合があるのかのう?」
     姫の様子はまるで凛の意見に興味がなさそうだ。
     凛もわかっている。
     どうせどんなに説得しても姫が自分の言い分を聞いてはくれないと。
     しかしだからといって自分の意見を述べずにはいられない。
    「いい? 秀人は一般人なの。『私たちの領域』に巻き込むわけにはいかないの。それぐらい姫だってわかってるでしょ?」
    「よいではないか……すでにその童(わらし)は引き返せぬ領域まで脚を踏み入れておる。ならばこの鞍馬の地の守護者たる我らが監視、保護を行うは理にかなっておろう」
    「保護と引きずり込むのは違うわ。大体、姫は自分の道楽のために彼をそばに置いておきたいだけじゃない!」
    「妾(わらわ)の道楽? これはまた異なことを言うな。主(ぬし)がとどめおきたいのであろう」
    「そんなわけ…………!」
    「ストップ」
     凛と姫の言い合いがいよいよ引き返せない領域に踏み込もうとする前に秀人が口を挟んだ。
    「なんだか大事なお話みたいだから僕はこれで帰るよ。姫、紅茶はこのポットに入ってるから悪いけど二杯目からは自分でついでくれるかな?」
     紅茶が湯気を上げているカップを手に取るとそれを恭しく姫に渡し、隅においてあったかばんを拾うとさっさと身支度を整える。
    「それじゃ姫、また明日」
     秀人は姫への挨拶を済ませると凛へと向かいあった。
    「凛」
    「…………」
     自分の名前を呼ばれても知らん振りを押し通す。顔すら合わせようとしない。
     その頑なな様子に秀人は苦笑しながら今言わなければいけないことを口にした。
    「何をしようとしているかは僕にはわからないけど、危ないことはしちゃいけないよ?」
     それじゃ、と言って秀人は庵を出て行った。
     庵を出て行こうとする秀人の後姿を見つめて凛はますます不機嫌になる。
     この男はなんて無神経なのだろう。
    「やれやれ……つまらぬ茶会になってしまったな……賓客がいないのではせっかくの茶も茶菓子も価値がない」
     そういって優雅に紅茶を啜り、姫はつまらなそうに凛を見た。
     そうだ、あの男は無神経なのだ。
     無用の心配をかけて。
     一体あの男は自分を何様だと思っているのだろう。
    「それで、妾(わらわ)の最近の唯一の楽しみを奪ってまでしなければならぬ大事な話とはなんじゃ?」
     姫に振り返る。
    「連続通り魔殺人事件、その犯人たる魔術師を捕まえます」
     気に食わない。

     自室のドアを開ける。
     まだ太陽が昇っているのに薄暗い部屋の中。
     いつからだろう。
     太陽が嫌いになったのは。
     一時は太陽と仲直りもできたけど、今はまた絶好状態。
     それでもかまわない。
     今はたくさんの友達がいるから。
     そう、今の私にはたくさんの友達がいる。
     昔の私とは違う。
     私は彼女に選ばれたのだから。
     彼女は完璧だ。
     私みたいなごみとは違う。
     誰よりも美しく、気高く、けど決して傲慢ではなく、慈愛に満ち、頭脳明晰、運動もできて、私なんかが話しかけられるような人じゃない。
     まして私には彼女に声をかけてもらうような価値なんてない。
     でも、そんな私を彼女は友達だといってくれる。
     そうだ、夏休みには一緒に海に行くんだ。
     どんな水着だろう………………
     きっとどんなものを着ても彼女ならすごく似合うに違いない。
     想像するだけで体が熱くなる。
     全身を赤い何かが駆け巡って疼き抑えられない。
     一番近くにあったお人形を手に取る。
     渾身の力をこめてその体をへし折る。
     ぶちゅり…………!
     私の中を駆け巡る赤と同じモノが滴り落ちる。
     それをなめるだけで疼きは快感へと変わっていく。
     こんな気分のときなら私は何でもできる。
     そう、何でもできるんだ。
     彼女に選ばれた私なら何でもできるんだ。
     彼女に……あんな女なんかに負けたりしないのだ……
     彼女は完璧だ。
     私がほしいものをすべて持っている。
     それだけなら許せる。
     高価な宝石の彼女と無価値な石ころの私を比べるほうがどうかしている。
     でも……
     でも……でも……でも……
     でもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもででももでもででももでもももでもでもでもでも――――――――
     彼女はすべてを持っている。
     私がほしいと思ったものを全部全部全部――――――
     それだけなら許せる…………
     けど、私の一番ほしいものを彼女はあっさりと投げ捨てた。
     私にとっての大事な大事な宝石を無価値な石ころとして放り捨てた。
     すべてを持っている人間は何もない人間の大事なものを無碍にする権利があるのだろうか?
     ない……
     そんな権利あっていいわけがない………………!
     そうだ……
     彼女が私の大事なものを奪い、ごみとして捨てるなら……
     私は彼女の大事なものを奪ってやろう……
     そして彼女の前でぼろぼろにして手ひどく捨ててやろう……
     そうすれば彼女も少しは反省するはずだ。
     でもそんなことをすれば彼女は激怒する。
     彼女が怒るところなんて見たことがないけど、どれほど激しいのだろうか?
     …………見てみたい。
     見てみたい見てみたい見てみたい見てみたい見てみたい――――――
     きっととても怖くて激しくてそして美しい……
     私だけに見せてくれる姿だ……
     さあ、するべきことは決まった…………
     私にはできる。
     だって――――――
    「みんな……手伝ってくれるよね……?」
     小さな部屋に笑い声が零れる。
     クスクス……くすくす……クスクス……くすくす……
     クスクスくすくすクスクスくすくすクスクスくすくすクスクスくすくすクスクスくすくすクスクスくすくす――――――
     こんなにたくさんの友達がいるのだから。
     私の唇の隙間からも笑い声が漏れる。
     だけど、どうしてだろう?
     こんなにわくわくして楽しくておかしくて仕方ないのに。
     笑い声が止まらないのに。
     あなたはどうして泣いているの?

    コメントの投稿

    非公開コメント

    次回参加イベント
    プロフィール

    富士本 球

    Author:富士本 球
    つれづれなるままに小説を書いてる生き物です。

    ツイッター
    最新記事
    カテゴリ
    月別アーカイブ
    作品

    下記ショップ様にて販売中 D-STAGE

    式神 第一章 傀儡 式神 第一章 傀儡
    式神 第二章 蠱毒 式神 第二章 蠱毒
    式神 第三章 魔導書 式神 第三章 魔導書
    式神 第四章 鬼姫 式神 第四章 鬼姫
    式神 第五章 逢魔 式神 第五章 逢魔
    式神 第五章 逢魔 式神 第六章 凛

    RSSリンクの表示
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。